ふるさと

結論から言うとやる気ゼロなのでたぶんやんないんだけど、なぜか急に実家で親と同居、っていう話しが盛り上がってきた。
うちの実家はわりかし広めなんだけど、子供たちがそれぞれ独立して出ていき、今実家にいるのは老人2人と姉家族だけになっていて。で、姉子たちもそろそろみんな大学生になり、一人暮らしとか始めそうで、このだだっ広い家をどうしようか、って話になったのだ。
で、僕ら夫婦が実家に帰らなかったら、実家を売って、老夫婦はマンションにでも住み替える?みたいな話も出たりして、ふと頭をよぎったのは
「実家同居は嫌だけど、実家がなくなるのはそれはそれでとても寂しいな・・・」ってことだった。
実家をでて15年ちかくたち、駅前は風変りしてるし、友達もそんなに住んでいない。少子化の影響で通ってた小中学校は統廃合されて、近所の商店街はさびれている。
だから、「そんなに地元に思い入れないし、実家なくなるのなんて余裕じゃね?」って思ってたんだけど、
でも、ぼんやり河原や公園まで遊びに行ったり、どんぐりを拾ったり、広い庭でペットを沢山飼ったり。家族みんな揃ってご飯をたべたダイニングルームや、傷だらけのフローリングや、がらくただらけの物置。そういうものたちに、永遠にさよならする、って想像してみたら思ったよりショックが大きいことに気が付く。

よく思うのだけど、東京で生まれ育って住んでいる人は、地方から東京に出てきている人よりも、保守的で、「地元の人」っぽい。一方、地方から来た人は、「東京にでるぜ!」って思い立ってやってきた軽やかな人だ。
そんな軽やかな上京者が、「将来は実家帰んないといけないんですよね〜。実家の方とか何もないんですけどね」って言うのを聞いて、「じゃあ帰らなければいいのに。東京のほうがなんでもあるし」とか思ってた。

地震で、津波やら原発やらで、故郷を出ざるを得なくなったけど、「愛する地元をまた復興させたいのでがんばります!津波がくるかもしんないけど、また同じところに家を建てます!」ってのを聞いて、
「いやー。津波あぶないし、もうあきらめて、違うところに町つくったほうがよくないか?」とか思ってた。

そんな風に、ずっとクールに思っていたけど、いざ、実家がなくなるのがリアルになってみたら、ふるさとがなくなる寂しさや、いつかは帰りたくなる郷愁の気持ちを、少し理解できた気がする。
「便利だから」「なんでもあるから」「合理的だから」で解決できる問題でもないんだね。


・・・とはいっても実際、個人的な事含めて問題はいろいろあるので、住まないと思ってるけど。都心生活超快適だし。せいぜい実家にもうちょっと行くようにするくらいかな。住むにしても、もっと10年単位で先の話だ。