ナイフ/重松 清

ISBN:4101349134
様々なシチュエーションでの『いじめ』をめぐる様々な人たちの短編集。個人的にはこの中の『キャッチボール日和』が好きです。
たしかこの作者ってTVかなんかで見たんだけど元々ゴーストライターとかやってた人なんだよね。お話もうまいんだけど、大人になるとすっかり忘れてしまいがちな子供特有のプライドの高さとかが細かく書かれていて、この作者の他人の事を想像する能力の大きさを感じてすごいなーって単純に思います。
決してハッピーエンドではないけれど一生懸命考えて自分なりに動き出そうとする気配のある人たちのそれぞれのエピソードは、個々は陰惨なのにどことなく未来を感じさせてなんとなくさわやかな読後感があります。文庫版のあとがきのほうがよっぽど重い話だったりするし。
ただ、表紙が桜沢エリカだったり『夏イチ文庫』だったりとかして、少年少女向けの本の体裁をとってはいますが、でも実際少年少女が読んでもわからないだろうなぁ〜。少年少女は本ではなく現実と向き合うのに一生懸命だしそうあるべきだと思うし。